Aritalab:Lecture/Automata/Intro
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記号の有限集合をアルファベットと言います。アルファベット Σ 上の列とは、記号を重複を許して並べたものです。例えば Σ = {0,1} なら 001010 は長さ 6 の列です。 | 記号の有限集合をアルファベットと言います。アルファベット Σ 上の列とは、記号を重複を許して並べたものです。例えば Σ = {0,1} なら 001010 は長さ 6 の列です。 | ||
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L に含まれる任意の列 x において xε = x が成立します。 | L に含まれる任意の列 x において xε = x が成立します。 | ||
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* ε またはアルファベット1文字からなる列は回文である。 | * ε またはアルファベット1文字からなる列は回文である。 | ||
* x が回文のとき、アルファベット1文字からなる任意のyについて yxy は回文である。 | * x が回文のとき、アルファベット1文字からなる任意のyについて yxy は回文である。 | ||
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Latest revision as of 12:02, 7 May 2012
[edit] 準備
[edit] アルファベット
記号の有限集合をアルファベットと言います。アルファベット Σ 上の列とは、記号を重複を許して並べたものです。例えば Σ = {0,1} なら 001010 は長さ 6 の列です。 長さ 0 の列を ε で表わします。 列 x の逆とは x を後ろから逆に読んだもので、 xR と書きます。二つの列 x, y の連接を xy と書きます。 同じ列の連接は x2 のように書くときもあります。 列の 0 個以上の連接によりできる集合を Σ* と書きます。(スター演算と呼びます。) このとき、0 個の連接でもよいから ε ∈ Σ* です。 列 x の一部を部分列といいます。正確には列 w が w = xyz と書けるとき y を w の部分列といい、このとき、x, z は ε でもよいとします。
[edit] 言語
アルファベット Σ 上の言語とは Σ 上の、列の有限、または無限集合のことです。例えば
- {0n1n | n ≥ 0}
は 0, 1 が正確に同じ数だけ繰り返される列の全体からなる言語です。空集合も言語であり、特別に Φ と書きます。言語と言語の連接は
- L1L2 = { x1x2 | x1 ∈ L1, x2 ∈ L2 }
と定義します。言語のスター演算も同様に定義します。
- 例. (xy)R = yRxR
帰納法により証明します。 |xy| = 0 のとき、x = y = ε なので成立します。 |xy| = k (k ≥ 0) のとき、命題が正しいと仮定します。
- x = ε のとき
命題は自明です。
- x = ax' と書けるとき
- (xy)R = (ax'y)R = (x'y)Ra = yRx'Ra = yRxR
よって命題は成立します。
- 例. 任意の言語 L と空集合 Φ において LΦ = Φ
Φ は空集合なので、これに含まれる列はありません。連接を作っても空集合です。
- 例. 任意の言語 L と空文字 ε において Lε = L
L に含まれる任意の列 x において xε = x が成立します。
- 例. 回文
条件 x = xR を満たすものを回文といいます。回文は以下のように帰納的に定義できます。
- ε またはアルファベット1文字からなる列は回文である。
- x が回文のとき、アルファベット1文字からなる任意のyについて yxy は回文である。
次→ 正則表現