Doc:Citrus/Okinawa
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- 稲福(寺本)さゆり学位論文 「琉球列島在来カンキツ遺伝資源に関する研究」 "Studies on Citrus genetic resources in the Ryukyu Islands" (鹿児島大学大学院連合農学研究科)
のまとめになります。
琉球の柑橘
八重山諸島,沖縄諸島,奄美諸島をふくむ琉球列島全域では本土にはない特徴を持つマンダリンタイプの在来カンキツ類が多く残り,最も多いシークヮーサー類(2009年度生産量は3500トン以上)の他にも,カーブチー,オートー,ケラジ,クネンボ(沖縄名:羽地トークニブまたはトークンブ)といった品種が少なくとも数百年以上栽培されています。とりわけクネンボは,少なくとも15世紀までには沖縄へ入り,奄美諸島を経由して九州にもたらされた後,さらに北上して関東へと伝播していったとされる古い種で(伊藝,1994;岩堀・門屋,1999;田中,1957;田中,1948;山田,1994),沖縄本島や奄美諸島に現在残る在来カンキツ類の成立に関与した可能性が指摘されています(山本ら,2010)。
| 品種名 | 学名 | 説明 |
|---|---|---|
| シークヮーサー類 | C. depressa Hayata | 沖縄では,酸味があり,香りが強く,熟すると橙色になる小型カンキツ類をすべてシークヮーサー類と呼称している。クガニーとイシクニブはその一系統 |
| クガニー | C. depressa Hayata var. kuganiiz | 大果優良系の栽培種。代表的な4つの品種(大宜味クガニー,伊豆味クガニー,勝山クガニー,カーアチー)が含まれる |
| イシクニブ | C. depressa Hayata form. Ishikunibuz | 果皮が濃橙色で減酸が遅く,晩生でやや矮性である野生種 |
| 在来タチバナ (タニブター) | C. tachibana (Makino) Tanaka var. attenuata | |
| シキキツ | C. madurensis Lour. | |
| ロクガツミカン | C. rokugatsu hort. ex Yu. Tanaka | |
| オートー | C. oto hort. ex Yu. Tanaka | |
| カーブチー | C. keraji hort. ex Tanaka var. kabuchii | |
| ケラジ | C. kearji hort. ex Tanaka | |
| クネンボ | C. nobilis Lour. | |
| T-132 | C. tankan Hayata | |
| 垂水1号 | C. tankan Hayata | |
| 名護紅早生 | C. tankan Hayata | |
| オオベニミカン | C. tangerina hort. ex Tanaka |
沖縄のカンキツ遺伝資源の特徴として,独特の香りの強さがあげられます(Teramoto and Kawamitsu, 2010)。