Index:CDterminology
From Metabolomics.JP
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&&出荷&&release&&漢方製剤、生薬製剤などの工業的製造の最終ステップ。出荷試験 tests for release を行い、出荷規格 release-specification や出荷基準 (出荷判定基準) release criteria をもとに適否判定 judgement を行い、合格したものが出荷される。 | &&出荷&&release&&漢方製剤、生薬製剤などの工業的製造の最終ステップ。出荷試験 tests for release を行い、出荷規格 release-specification や出荷基準 (出荷判定基準) release criteria をもとに適否判定 judgement を行い、合格したものが出荷される。 | ||
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+ | &&生薬の微生物限度試験法&µbial limits test for crude drugs&&『生薬に存在する増殖能力を有する特定の微生物の定性、定量試験法である。本試験法には生菌数試験 total viable aerobic count (好気性細菌と真菌) 及び特定微生物試験 test for the detection of specified microorganisms (腸内細菌とその他のグラム陰性菌、大腸菌、サルモネラ及び黄色ブドウ球菌) が含まれる。試験を遂行するに当たって、外部からの微生物汚染がおこらないように、細心の注意を払う必要がある。また、被検試料が抗菌作用を有する場合又は抗菌作用を持つ物質が混在する場合は、希釈、ろ過、中和又は不活化などの手段によりその影響を除去しなければならない。試料は任意に選択した異なる数箇所 (又は部分) から採取したものを混和し用いる。試料を液体培地で希釈する場合には、速やかに試験を行う。また、本試験を行うに当たっては、バイオハザード防止に十分に留意する。』 (JP)。なお、 JP英文版では、 microbial limit test for crude dugsと limitが単数形になっている。 | ||
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Revision as of 17:32, 1 April 2009
Crude-drug Top Gallery |
General Index | Names | Prescriptions | Books | Journals | Terminology | Chinese Medicines |
Contents |
Recommended Terminology for Kampo Products, Conventional Crude Drug Products and Crude Drugs
このページは日本生薬学会誌に掲載された「漢方製剤・生薬製剤・生薬用語の英語表記」を一部wiki用にまとめて読みやすくして掲載しています。
Reference. 生薬学雑誌 62(2):80-90, 2008 および 63(1):11-21, 2009
医学・医療
日本語 | English | 解説 |
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漢方 | Kampo | 本来は日本の伝統医学である漢方医学あるいは漢方医学で用いる処方の意味。 蘭方と対比で用いる場合もある。どの意味で用いるのかを考え、Kampo という言葉は単独で用いず、Kampo medicine、 Kampo formulation など語尾に適切な言葉をつけて誤解されないようにすること。 なお、漢方医学の意味で用いる場合には、初出の際に「漢方医学」の項で示すような注釈を付けることが望ましい。
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蘭方 | Rampo | 江戸時代に伝わった西洋医学で、漢方と対をなす言葉。漢方の歴史を表現する場合にのみ Kampo と対にして用い、それ以外は用いない。言葉の注釈としては Western medicine を用いる。
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原典 | original text, original document | その処方名が最初に記載された書物。
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出典 | reference text | その処方の生薬の配合量が記載されている書物。
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伝統医学 | traditional medicine | 各民族、各地方で経験的に確立した医学。鍼灸や祈祷など薬物治療以外のものも含む。 WHO/WPRO用語集では "the sum total of knowledge, skills and practice of holistic care for maintenance of health and treatment of disease based on indigenous theories, beliefs and experiences handed down from generation to generation" と定義/解説されている。 traditional medicine という言葉は伝統薬という意味にもなり、用いる際には注意が必要。
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東洋医学 | Oriental medicine | 中国や日本、韓国など東アジアの伝統医学の総称。 WHO/WPRO用語集では "a general term for traditional medicine practiced in East Asian countries, e.g. Japan and Korea" と定義/解説されている。
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漢方医学 | Kampo medicine | 日本の伝統医学の一つ。 WHO/WPRO用語集では "the medicine traditionally practiced in Japan, based on ancient Chinese medicine" と定義/解説されており、必要に応じてこの注釈をつける。 the traditional Japanese medicine という注釈もありうるが、本表現は厳密には鍼灸なども含むので、薬物療法のみを指す場合には注意が必要。
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中医学, 中国医学 | traditional Chinese medicine | 中国の伝統医学。 WHO/WPRO用語集では "the traditional medicine that originated in China, and is characterized by holism and treatment based on pattern identification/syndrome differentiation" と定義/解説されている。 TCM と略す場合がある。
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韓医学 | traditional Korean medicine | 朝鮮半島で発展した伝統医学。 WHO/WPRO用語集では "the medicine traditionally practiced in Korea, based on ancient Chinese medicine, which focuses principally on constitutional approaches" と定義/解説されている。
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現代医学 | modern medicine | 現在の医学。伝統医学と対をなす言葉であるが、漢方医学と対をなすものではない。 漢方製剤は現代医学に含まれる。
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西洋医学 | Western medicine | ギリシア医学を起源とする医学で、東洋医学と対をなして用いる言葉。
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代替医療, 補完・代替医療 | alternative medicine, complementary medicine, complementary and alternative medicine (CAM) | その国の法体系では、正規の医学とは認識されていない医学(通常医療の代わりに用いられる医療)。 漢方は欧米では代替医療となるが、日本では代替医療ではない。 米国ではCAMという言葉がよく用いられる。
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健康食品 | health food | 「健康食品」とは、広く健康の保持増進に資する食品として販売・利用されるもの全般を指し、保健機能食品 (foods with health claims: FHC) も含むものであり、「いわゆる健康食品」とは、「健康食品」から保健機能食品を除いたものである(「健康食品」に係る制度のあり方に関する検討会、H16年6月9日)。なお、保健機能食品は特定保健用食品 (foods for specified health use: FOSHU) と栄養機能食品 (foods with nutrient function claims: FNFC) から成る。 |
漢方製剤・生薬製剤
日本語 | English | 解説 |
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漢方処方 | Kampo formula | 漢方の考え方による生薬の組み合わせ(レシピ)を指す場合に用いる。処方全体を示す場合は Kampo formulae または Kampo formulas を用いる。
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漢方方剤 | Kampo prescription | 医師の指示や処方箋により出された漢方処方。エキス製剤の場合もあれば、煎剤用の刻み生薬の混合物の場合もある。総称で使う場合には複数形にする。
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エキス剤, エキス製剤 | extract | 生薬の浸出液を濃縮して製した中間製剤で、軟エキス剤 (viscous extracts) と乾燥エキス剤 (dry extracts) がある (JP)。包装前のものは extract preparation、包装後のものは extract product などと、どの段階のものであるか、よく意識して使うべきである。
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漢方エキス | Kampo extract | 漢方処方のエキスで、Kampo preparation の一種。抽出液、それを濃縮したもの、完全に乾燥したものまで全ての意味を含むので、どの状態かを厳密に表現したい場合には、それぞれ
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原薬エキス | bulk extract | 漢方製剤の原薬に相当するものは生薬ではなく中間製剤のエキスであり、bulk extractと表現する。
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単味生薬エキス | single crude drug extract | 単一の生薬を水または有機溶媒で抽出したエキスを表す場合に用いる。
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漢方製剤(中間製剤), 〃(最終バルク), 〃(最終製品) |
Kampo preparation, Kampo formulation, Kampo product |
Kampo preparationはエキスや刻み生薬の集合体など、漢方製剤に至るまでの中間製品を示す際に用いる。Kampo formulation (包装前の最終製品)の意味でも用いるが、一般的には Kampo preparation を用いることが望ましい。 Kampo formulationは包装前の最終製品を表す場合に用いる。添加物を加えた顆粒や、カプセルにつめたものを指す。 Kampo productはKampo formulation を包装したもので、市場に流通しているものを指す場合に用いる。いずれも総称で使う場合には複数形にする。個別の漢方製剤(最終製品)を表す場合には、例えば kakkonto product と記載する。
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漢方エキス製剤(最終バルク), 〃(最終製品) |
Kampo extract formulation, Kampo extract product |
Kampo formulation/product がエキスであることを強調したいときに用いる。総称で使う場合には複数形にする。
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漢方エキス 顆粒/錠/カプセル | Kampo extract granule/tablet/capsule | Kampo extract formulation が顆粒や錠剤、カプセル剤であることを強調したい時に用いる。総称で使う場合には複数形にする。
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医療用漢方製剤 | Kampo formulation for prescription, ethical Kampo formulation | 医師が処方する漢方製剤。一般的には Kampo formulation for prescription の方が欧米では理解されやすいが、ethical Kampo formulation もほぼ同義である。現在、わが国の薬事法では漢方製剤は処方箋薬ではないので、厳密にはこれらの表現は正確ではない。 エキスを配合する場合が多く、その場合、医療用漢方エキス製剤 (Kampo extract formulation for prescription, ethical Kampo extract formulation)となる。
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一般用漢方製剤 | OTC Kampo formulation | 一般用漢方製剤の全てが over-the-counter で販売されるわけではないが、一般用漢方製剤を表すのに OTC Kampo formulation という言葉を使用することに通常は問題がないものと考えられる。一方、 Kampo formulation for non-prescription という表現は欧米では理解されやすいが、わが国の薬事法では漢方製剤は医療用も含めて全て 処方箋薬ではないため、正確な表現とは言えない。以上のことを理解した上で、これらの英語表現を用いることが望ましい。 エキス製剤でないものも多数あるが、エキスを配合する場合は一般用漢方エキス製剤 (OTC Kampo extract formulation) となる。
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生薬製剤 | (A) crude drug product (B) conventional crude drug product |
(A) crude drug product が最も広い意味になり、漢方製剤も含んだ表現になる。 漢方製剤を含めない場合には、 conventional crude drug product あるいは non-Kampo crude drug product を使用する。 (B) conventional crude drug product を用いる場合には (non-Kampo crude drug product) という但し書きを用いると理解させやすい。なお、 conventional drug と言う場合には新規な製剤(例えば徐放性製剤)と対比して用いられる場合が多いが、 conventional crude drug product の場合の "conventional" は漢方と対比して用いている。 コウジン末など1種類の生薬のみからなることを表現する場合には、 single crude drug product とすると明確になる。化学医薬品や添加物など、生薬以外の混合物があることを表現する場合には combination crude drug product としてよいが、その後に with vitamin C のように、何が含まれるかを明確にする。総称で使う場合には複数形にする。
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一般用生薬製剤 | OTC crude drug product, OTC non-Kampo crude drug product | 日本では、生薬製剤の大部分は一般用であることから、一般用生薬製剤は生薬製剤とほぼ同義語となるため、一般用であることを特に強調しないのであれば、生薬製剤と同じ英語表現を用いてもよい。
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医療用生薬製剤 | single crude drug for prescription, ethical single crude drug | わが国においては、医療用生薬製剤は単一生薬のみの製品しかないため、 ethical combination drug containing crude drug preparation のような表現はありえない。
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最終製剤 | finished pharmaceutical product, finished product | 漢方製剤の場合は finished product でも通用する。
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浸剤・煎剤 | infusions and decoctions | 『生薬を、通例、精製水で浸出して製した液状の製剤』 (JP)。漢方の煎じ薬は一種の煎剤であり decoctionと表す。
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チンキ剤 | tinctures | 『通例、生薬をエタノール又はエタノールと精製水の混液で浸出して製した液状の製剤』 (JP)。
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流エキス剤 | fluidextracts | 『生薬の浸出液で, 通例, その1ml中に生薬1g中の可溶性成分を含むよう製した液状の製剤』 (JP)。 |
工業的製造や自家製剤の作製工程
日本語 | English | 解説 |
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受入れ | acceptance | 漢方製剤、生薬製剤などの工業的製造の第一ステップ。受入試験 (tests for acceptance) を行い、生薬、エキスなどの受入規格 (acceptance-specification) や受入基準 (受入判定基準) (acceptance criteria) に適合しているかどうかを判定する。日局生薬であれば日局規格への適合 (conformity to JP) を判断する。
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仕込み量 | (total) amount of crude drugs for extraction | 漢方製剤、生薬製剤などの工業的製造において、 エキス抽出に用いる生薬の総重量 (total amount of crude drugs for extraction)、あるいは各生薬の重量 (amount of a crude drug for extraction)。
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抽出工程 | extraction (process) | 漢方製剤、生薬製剤などの工業的製造や 自家製剤の作製において、生薬の単味あるいは混合物から水などの溶媒によって含有成分を抽出液に移行させる工程。 自家製剤では decoction を用いてもよい。抽出に関係する用語として、
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分離工程 | separation (process) | 漢方製剤、生薬製剤などの工業的製造や 自家製剤の作製において、抽出液と生薬残渣とを分ける操作。固液分離 (solid-liquid separation) とも言う。煎剤ではこの操作により最終製剤となる。
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濃縮工程 | concentration (process) | 漢方製剤、生薬製剤などの工業的製造において、抽出液の濃度を高める工程。工業的には、減圧濃縮 vacuum concentration が主に用いられる。抽出液を濃縮して水飴様の稠度としたものは軟エキスと言う。
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乾燥工程 | drying (process) | 漢方製剤、生薬製剤などの工業的製造において、抽出液の水分や溶剤を気化させ粉末化する工程。噴霧乾燥 (spray drying) や凍結乾燥 (lyophilization, freeze-drying) などがある。
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混合工程 | mixing (process) , blending (process) | 原材料を混ぜ合わせる工程。漢方製剤の工業的製造において、 エキスに賦形剤 (excipient) などの添加剤 (additive) を加えて均一になるようにする工程。 blendingという言葉は混合というより調合、配合という意味あいが強い。
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造粒工程 | granulation (process) | 固形製剤の製剤化工程の一つで、顆粒剤や細粒剤を作る工程。その他に、錠剤化工程 tableting (process)、カプセル化工程 capsulation (process) などがある。
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篩過 (しか) 工程 | sieving (process) | 一定の大きさのものを選り分ける工程。原料生薬で切度を揃えたり、顆粒剤などの製剤化工程で粒度を揃えたりする場合に用いられる。
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包装工程 | packaging (process) | バルク製剤を容器や被包に充填 (filling) し、表示 (labelling / labeling) して 最終製品にする工程。例えば、漢方製剤 (最終バルク) (Kampo formulation) を 漢方製剤 (最終製品) (Kampo product) にする工程。
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出荷 | release | 漢方製剤、生薬製剤などの工業的製造の最終ステップ。出荷試験 tests for release を行い、出荷規格 release-specification や出荷基準 (出荷判定基準) release criteria をもとに適否判定 judgement を行い、合格したものが出荷される。 |
試験法
日本語 | English | 解説 |
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生薬の微生物限度試験法 | microbial limits test for crude drugs | 『生薬に存在する増殖能力を有する特定の微生物の定性、定量試験法である。本試験法には生菌数試験 total viable aerobic count (好気性細菌と真菌) 及び特定微生物試験 test for the detection of specified microorganisms (腸内細菌とその他のグラム陰性菌、大腸菌、サルモネラ及び黄色ブドウ球菌) が含まれる。試験を遂行するに当たって、外部からの微生物汚染がおこらないように、細心の注意を払う必要がある。また、被検試料が抗菌作用を有する場合又は抗菌作用を持つ物質が混在する場合は、希釈、ろ過、中和又は不活化などの手段によりその影響を除去しなければならない。試料は任意に選択した異なる数箇所 (又は部分) から採取したものを混和し用いる。試料を液体培地で希釈する場合には、速やかに試験を行う。また、本試験を行うに当たっては、バイオハザード防止に十分に留意する。』 (JP)。なお、 JP英文版では、 microbial limit test for crude dugsと limitが単数形になっている。
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クロマトフィンガープリント、クロマト指紋 | chromatographic fingerprint | クロマトグラフィーを用いて、特定成分を定量するのではなく、クロマトグラフィーチャートの全体パターンから、物質の質を判定すること (仲井由宣, GMP・ICH医薬用語事典) 。 |
生薬
日本語 | English | 解説 |
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薬用植物 | medicinal plant | WHO guidelines では、 herb は木本も含むと定義しているが、 herb は "any seed-bearing plant which does not have a woody stem and dies down to the ground after flowering" の意味であり (The Oxford English Dictionary) 、木本の樹皮等が含まれなくなるため medicinal herb は厳密には間違いである。
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生薬 | crude drug | 生薬とは、動植物の薬用とする部分、細胞内容物、分泌物、抽出物又は鉱物などを示す (JP)。
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刻み生薬 | crude drug pieces for decoction | JPでは切断生薬という言葉を用いており、刻み生薬とは呼んでいない。切断方法まで表現する場合は cut、 sliced、 powdered、 crushed などをつけるが、 cut と powdered に関しては切度がJP通則で規定される。
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切断生薬 | cut crude drug | 全形生薬を小片または小塊に切断または粉砕したもの、あるいは粗切、中切または細切したもの (JP)。
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粉末生薬 | powdered crude drug | 全形または切断生薬を粗末、中末、細末または微末としたもの (JP)。
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原料生薬 | (A) raw material (for crude drug) (B) crude drug (for Kampo preparation) |
(A) 農産物としての生薬を指す場合は raw material for crude drug(植物性原料の場合には plant raw material)と表現する。
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産地 | place of production, place of collection, place of harvest | origin、source などは基原や起源と誤解される可能性があるので使用すべきではない。ここでは名詞形で表現をしているが、 "collected in Shandong Province, harvested in Shandong Province" などと記載する方がわかりやすい。
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野生品 | wild plant, collected plant, wild resource | 動物までを含んで表現する場合は wild resource を用いる。 生薬を指す場合は、 crude drug derived from wild plant などと表す方がよい。
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栽培品 | cultivated plant, harvested plant | 生薬を指す場合は crude drug from cultivated plant などと表す方がよい。 |
医薬品
日本語 | English | 解説 |
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伝統薬 | traditional medicines, traditional drugs | 伝統医学(traditional medicine) で使用される薬物の総称。
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漢方薬 | Kampo medicines | 漢方医学(Kampo medicine) で用いる薬剤全体を概念的に広く表現したい場合に用いる言葉。 漢方医学と誤解される可能性があるため、個別の物質を指す場合には Kampo preparation、 Kampo formulation、 Kampo product など、より具体的で正確な表現を用いるべきである。 なお、漢方薬の原料は植物だけと限らないため、 Japanese herbal medicines という注釈は適切ではない。漢方薬を解説する場合には、まず日本の伝統医学(traditional Japanese medicine) である 漢方医学に触れてから説明を加えるとよい。「漢方医学」の項も参照のこと。
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和漢薬 | Wakan-yaku | 日本で用いられている伝統薬の総称を示す場合に用いる。もともとは日本、中国で用いられる生薬を指していたが、現在は漢方薬も含めた広い意味で用いられている。
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民間薬 | folk medicine, indigenous medicine, indigenous drug | 経験的に民間で使用される伝統的な薬物。体系化されていない。日本ではセンブリなどがこのカテゴリーに含まれる。総称で使う場合には複数形にする。
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中薬 | traditional Chinese medicine | 中医学で用いる薬剤。漢方医学のもとになった古典的な薬剤から、近年の新しい処方(合成薬を含まない)までを含む広い概念を示す言葉。総称で使う場合には複数形にする。 traditional Chinese medicine は中医学の意味でも用いるので、「中医学」の項も参照のこと。
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中成薬 | traditional Chinese medicinal product | 中薬を工業的方法で製剤化した薬物を示すときに用いる。
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植物薬 | herbal medicine, herbal drug, botanical medicine, botanical drug, plant medicine, plant drug | 「植物薬」といった表現は、欧米の "herbal medicine" といった言葉の日本語訳のため、 漢方薬などの日本国内の製品を表現する際にはなるべく用いない方がよい。 herbal medicines は植物薬全体を指す最も広い表現で、 herb (raw materials) そのものから、原料 (herbal materials) 、中間製品 (herbal preparations) 、最終製品 (finished herbal products) までを含む。 herbal materials には精油や herb のフレッシュジュースも含む。植物製品をさす場合には herbal product、生薬をさす場合には herbal drug などと、欧州的表現では使い分ける必要がある。薬の意味で medicine を使う場合には医学と誤解されないような注意が必要である。なお、漢方薬は鉱物性や動物性の生薬を含む場合があり、厳密には漢方薬イコール植物薬とはならない。
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植物性医薬品 | herbal medicinal product, botanical drug product | 活性物質として植物性原薬のみを含む医薬品(最終製品)を示す場合に用いる。鉱物性生薬や、動物性生薬を含む場合には用いない方がよい。植物性以外の生薬や、合成薬が入っていることを表現したい場合には、 finished herbal product を用いる。欧州では herbal medicinal product、米国では botanical drug product を用いた方が理解されやすい。
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配合剤 | combination drug | 化学医薬品では有効成分を2つ以上含む医薬品のことを言う。医薬品添加物は有効成分には含まない。
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新薬 | modern medicine | 伝統薬の対比語になるが、この言葉は現代医学という意味に解釈される可能性もあるので注意が必要である。一方、 new drug という表現は、医薬品の規制現場では申請中の承認前薬物という意味が強く、 伝統薬の対比語としては不適当である。
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化学医薬品 | chemical drug | 単一の化学物質、あるいはそれらの混合物を有効成分とする医薬品を示す場合に用いる。
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合成医薬品 | synthetic drug | 化学合成により製造される医薬品。試薬などの非医薬品は別の概念であり、 chemical reagent と表現する。
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調剤用医薬品 | drug for dispensing | それ自体は法律上の効能・効果を持たず、薬局において医薬品の原料として用いられるもの。 |
処方
日本語 | English | 解説 |
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処方箋薬 | prescription drug, prescription medicine | 医師の診断に基づき処方される医薬品を示す。わが国の薬事法では、処方箋薬は医師の処方箋なしに販売することが禁じられている。 漢方製剤は医療用、一般用ともに処方箋薬には分類されていない。
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非処方箋薬 | non-prescription drug, non-prescription medicine | 医師の処方箋なしに購入できる医薬品を示す。わが国の薬事法では、非処方箋薬という分類はなく、 処方箋薬以外の医薬品を指す通称として用いられる。
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薬価収載医薬品 | NHI price listing drug | NHI は National Health Insurance の省略形。
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自家製剤 | in-house formulation | 工業的に製造された製剤の対語。家庭で製するもの、薬局で製するものがある。薬局で製するものは in-pharmacy formulation(薬局製剤) と表現する。
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薬局製剤 | in-pharmacy formulation | 自家製剤の一つ。病院薬局であれば in-hospital formulation としてもよい。
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丸料 | ganryo | 丸剤である漢方薬を湯剤として用いたことを示す処方名の一部。例えば、八味地黄丸は、本来は生薬を抽出することなく丸剤にしたものであるが、八味地黄丸料は八味地黄丸の構成生薬から作成した湯剤である。 漢方エキス製剤は八味地黄丸という名前であっても、正確には八味地黄丸料のエキス製剤であり、 extract based on hachimijiogan formula である。
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散料 | sanryo | 散剤である漢方薬を湯剤として用いたことを示す処方名の一部。例えば、当帰芍薬散は、本来は生薬を抽出することなく散剤にしたものであるが、当帰芍薬散料は当帰芍薬散の構成生薬から作成した湯剤である。 漢方エキス製剤は当帰芍薬散という名前であっても、正確には当帰芍薬散料のエキス製剤であり、 extract based on tokishakuyakusan formula である。
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構成生薬 | component | Component は構成要素という意味で、最も普通に用いられる言葉である。 「漢方処方」 (Kampo formula) においては、構成要素は配合される個々の生薬であることから、 "Pueraria root is a component of a kakkonto formula. " のように用いる。 "Pueraria root is a crude-drug component of a kakkonto formula." とすると、さらに明確な表現となる。 一方、「漢方エキス製剤」 (Kampo preparation、Kampo formulation、 Kampo product) の構成要素は生薬ではなく、通常、「エキス」 (bulk extract) であり、生薬を「漢方エキス製剤」の component と表現することはできない。 なお、 エキス製剤ではない、生薬末を混合した八味地黄丸の「丸剤」のような場合には "Rehmannia root is a component of a hachimijiogan product." と言うことはできる。
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構成(化学)成分 | ingredient, constituent | 化学医薬品製剤の中の有効(活性)成分を表す場合 active constituent、active ingredient、 active pharmaceutical ingredient (API) (いずれもmedicinal substance:原薬に同義) という用語が汎用される。Ingredient や constituentは、そのものがないと全体が完全なものにならない構成要素というニュアンスがある。このような化学医薬品における言葉の使われ方から、漢方製剤や生薬の構成(化学)成分を示す場合にも、 component を用いるより ingredient, constituent を用いる方が、誤解が少ない。より明確に表現する場合には、 chemical ingredient, chemical constituentとし、 "L-Ephedrine is an active ingredient of a kakkonto product." のように用いる。
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(生薬の)配合比率 | ratio of crude-drug component | 漢方製剤や生薬製剤を製造する時の 構成生薬の重量の比率。「一般用漢方処方の手引き」では単位のない比率で示されているが、日本薬局方に収載されている 漢方エキスでは1日あたりの重量で示されている。(生薬の) 配合量は amount of crude-drug component(s)、(生薬の) 配合理由は reason for crude-drug component (s) と表す。 |
規格
日本語 | English | 解説 |
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漢方エキスの日局規格 | JP standards for Kampo extracts | 漢方エキスの日局規格には下記の記述がある。 (本質 definition)、製法 method of preparation、性状 description、確認試験 identification、純度試験 purity (重金属 heavy metals、ヒ素 arsenic など)、乾燥減量 loss on drying、灰分 total ash、定量法 assay、貯法containers and storage。
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日本薬局方外生薬規格(局外生規) | non-JP crude drug standards | "The Japanese standards for herbal medicines" には局外生規のことを The Japanese herbal medicine codex (JHMC) として紹介しているが、通常、外国人に局外生規を説明するには non-JP crude drug standards の方が理解させやすい。局外生規には herbal medicine 以外の動物生薬も含まれており、こちらの方が正確である。さらに厚生省薬務局監視指導課監修の文献10) では、局外生規のことを Standards for non-pharmacopoeial crude drugs (non-JP crude drug standards) と英訳している。なお、文字数に余裕があるときは The Japanese herbal medicine codex (non-JP crude drug standards) とすることも推奨する。
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標準湯剤 | standard decoction | 標準的な生薬を用い、古典に従って調製した湯剤のこと(昭和57~59年度厚生科学研究事業報告医療用漢方エキス製剤の品質確保に関する研究)。
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漢方GMP | GMP for Kampo products | 漢方GMPには、1987年の「医療用漢方エキス製剤GMP」 (医療用漢方GMPと略される) と1992年の一般用漢方製剤・生薬製剤GMP (一般用漢方GMPと略される) が存在した。日本漢方生薬製剤協会では2005年に改正薬事法に基づき改正し、「漢方製剤・生薬製剤の製造管理及び品質管理に関する自主基準について」 (漢方GMPと略される。 Self-imposed standards for manufacturing control and quality control of Kampo products and conventional crude drug products) に一本化した。この英名は長いため GMP for Kampo products とすることを推奨する。
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生薬管理責任者 | crude drug control manager | 漢方GMPの中に規定されている。
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自主基準 | self-imposed standards, self-imposed limit |
業界団体が自主的に定めた基準。日本漢方生薬製剤協会には 漢方GMP (GMP for Kampo products) や 残留農薬に関する自主基準 (self-imposed residual pesticide limits) などがある。
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社内基準 | in-house standards | 各企業が自主的に定めた基準。
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品質管理指標成分 | characteristic constituent (or marker) for quality control |
「医療用漢方製剤の取り扱いについて」 (昭和60年5月31日、薬審二第120号通知) で定義されたエキス又は最終製品と 標準湯剤との同等性を確保するための指標となる成分。品質保証の指標にするものであり、有効性・安全性の指標とは限らない。医薬品製造販売指針の英語版では indicator ingredientsという言葉が使用されているが、左記表現を推奨する。このほか使われるのが
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