Tochimoto:Atractylodis Rhizoma
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○白朮(ワビャクジュツ) : | ○白朮(ワビャクジュツ) : | ||
− | 中国・朝鮮自治区 > 中国・吉林,中国・遼寧,北朝鮮<br/> | + | 中国・朝鮮自治区 > 中国・吉林,中国・遼寧,北朝鮮<br/> ( p < 0.05 ). |
その他は有意差無し. | その他は有意差無し. | ||
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;2) 白朮(ワビャクジュツ)の規格・調整による比較 | ;2) 白朮(ワビャクジュツ)の規格・調整による比較 | ||
− | ○皮去:手剥き > 皮付,皮去:機械剥き<br/> | + | ○皮去:手剥き > 皮付,皮去:機械剥き<br/> ( p < 0.05 ). |
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− | 唐白朮(浙江省)の木部において、形成層に近い道管列は放射状に配列し、ほとんど木部繊維を伴わず、木部柔細胞に囲まれて存在し、それより髄に近い道管列は発達した巨大な繊維群に囲まれている。皮層、放射組織および髄には油室が存在するが、蒼朮と比べてかなり小さい。これはオオバナオケラ A. | + | 唐白朮(浙江省)の木部において、形成層に近い道管列は放射状に配列し、ほとんど木部繊維を伴わず、木部柔細胞に囲まれて存在し、それより髄に近い道管列は発達した巨大な繊維群に囲まれている。皮層、放射組織および髄には油室が存在するが、蒼朮と比べてかなり小さい。これはオオバナオケラ''A. ovata''に一致する。 |
Revision as of 10:39, 3 December 2010
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General Index | Names | Prescriptions | Books | Journals | Terminology | Chinese Medicines |
出典: 栃本天海堂創立60周年記念誌 |
白朮 (Atractylodis Rhizoma)
白朮はキク科のオケラ Atractylodes japonica Koidzumi ex Kitamuraまたはオオバナオケラ Atractylodes ovata De Candolleの根茎を基原とする。日本市場ではオケラを基原とするものは「和白朮(ワビャクジュツ)」(「白朮」と記載されることもある)、オオバナオケラを基原とするものは「唐白朮(カラビャクジュツ)」と区別している。日局第6改正(1951年)にオケラ(蒼朮)としてオケラ A. japonicaを収載していたが、日局第7改正(1961年)および日局第7改正第2追補で「蒼朮」と「白朮」に区別され、上記の基原植物は白朮と規定された。オケラ(蒼朮)の収載はオケラの結節状の円柱形根茎を「蒼朮」とし、不定形の塊状根茎の皮去りを「白朮」として市場で扱われていた経緯からと考えられる。 中国漢方では梁代の陶弘景(452~536年)が朮に白朮・赤朮(蒼朮)の区別があると唱え、千金方・千金翼方・外台秘要方などでは朮はすべて白朮の生薬名が記載されている。当時どのような朮を白朮としたかは不明確であるが、明代に蒼朮は発汗、白朮は止汗と薬効を区別し、同一処方に白朮と蒼朮を使用していることから、明代にオオバナオケラ A. ovataが白朮として定着したと推測される。中国東北部に産するオケラA. japonica を基原とする生薬は「関蒼朮」と呼ばれ、中国市場では蒼朮に分類される。(より詳しく見る→栃本天海堂創立60周年記念誌)
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白 朮
『日本薬局方 第15改正(JP15)』
- 白朮:ATRACTYLODIS RHIZOMA
- オケラ Atractylodes japonica Koidzumi ex Kitamura の根茎(ワビャクジュツ)またはオオバナオケラ Atractylodes ovata De Candolle (Compositae) の根茎(カラビャクジュツ)と規定されている。
『中華人民共和国薬典2005年版』
- 白朮:RHIZOMA ATRACTYLODIS MACROCEPHALAE
- 白朮 Atractylodes macrocephala Koidz. の干燥した根茎と規定されている。
『大韓薬典 第9改正』
- 백출 白朮:ATRACTYLODIS RHIZOMA ALBA
- 삽주 Atractylodes japonica Koidzumiまたは백출(白朮) Atractylodes macrocephala Koidzumiの根茎でそのまま、または周皮を取り除いたものと規定されている。
備考:基原植物の表記は、日本ではオオバナオケラを Atractylodes ovata De Candolleとしているが、中国・韓国ではオオバナオケラをAtractylodes macrocephala Koidzumiとしている。国際的にmacrocephalaが妥当であるとされており、日本でも日局第16改正で併記しAtractylodes macrocephala Koidzumi (Atractylodes ovata De Candolle)とする検討がなされている。
市場流通品と現状
日本市場で流通する白朮は「和白朮」と「唐白朮」に区別される。日本および韓国市場はオケラを基原とする「和白朮」が主流で、日本漢方ではオオバナオケラを基原とする「唐白朮」を使用した臨床実績はなく、中医学派で一部使用されている。日局第12改正(1991年)まで白朮の日局規格の精油含量は「0.7mL以上」と規定されていたが、当時この規格に適合する「唐白朮」はほとんど見当たらず市場流通はわずかであったが、日局第13改正(1996年)で精油含量の規定が「0.5mL以上」に引き下げられたことで、適合品の「唐白朮」の流通が増大した。
和白朮
日本国内でも生産されていたが、生産量の減産にともない供給国は韓国産、北朝鮮産に変化し、現在は前述した中国東北部の関蒼朮の1種と推定されるオケラA. japonica が主流を占めており、また栽培は行われていないため、流通品は全て野生品である。通常は外皮(コルク層)を剥いだ皮去りが白朮として用いられ、新鮮なオケラを人手で皮去りした「手剥き」と、乾燥後に研磨機で磨いた「機械剥き」がある。近年は漢方エキス製剤の原料などで使用される外皮を付けたままの「皮付白朮」も流通している。また塊状形(丸手)と結節状(長手)の2種類の外部形態があり、通常は塊状形を白朮として使用する。結節状の白朮は精油含量が低く、日局の規格には適合するが、韓国では蒼朮として扱われている。
唐白朮
中国市場では「唐白朮」の商品規格は産地加工方法などによって多くの種類があり、「浙東白朮」「冬朮」「「平江朮(坪朮)」「江西朮」「徽朮」「太源朮」「紫皮朮」「飛子朮」「於朮」「帯葉朮」などがあるが、日本市場ではほとんど区別されていない。
生産加工状況
過去には韓国で大量生産された白朮だが、資源の枯渇によって中国東北部、北朝鮮からの輸入に頼っていたが、北朝鮮産は日本政府の外交政策により輸入が止まり、現在は中国産に依存している。中国産白朮は中国東北部の遼寧省、吉林省、黒竜江省で生産され、当初は北朝鮮との国境沿いの長白山山系で多く採集されていたが、次第に資源が枯渇し、現在は黒竜江省が主産地になっている。
和白朮 中国東北部
春季と秋季に採集されるが、春季生産の白朮は軽質で品質は少し劣る、農民よって採集された白朮は加工場に運ばれ、乾燥後に研磨機で土砂と髭根を落とし、丸手と長手に選別される。その後、買い手の要望により別の研磨機で皮去りが行なわれる。
唐白朮 中国浙江省
中国浙江省で主に栽培され、浙江省東部のものは「浙東白朮」といわれ、良品とされている。それ以外には湖南省、安徽省、江西省などでも栽培され、苗床に播種し、1年後移植し、移植後2~3年で収穫される。唐白朮の多くはオンドル(床下にレンガなどで仕切った煙道を設け、焚き口から煙を送り込んで暖める装置のこと)でゆっくり加熱する「発汗」といわれる加工をする。この加工によって香りと潤いが増すとされる。
理化学的品質評価
規格or産地 | 検体数 | 灰分 7.0%以下 |
酸不溶性灰分 1.0%以下 |
乾燥減量 | 希エタノール エキス含量 |
---|---|---|---|---|---|
白朮(ワビャクジュツ)ALL | 143 | 4.8 ±0.6 | 0.4 ±0.3 | 12.3 ±1.6 | 28.2 ±8.4 |
中国・吉林 | 25 | 4.5 ±0.6 | 0.4 ±0.3 | 12.8 ±2.3 | 31.7 ±10.3 |
中国・遼寧 | 17 | 4.8 ±0.6 | 0.6 ±0.5 | 12.2 ±2.3 | 32.9 ±8.1 |
中国・黒龍江 | 10 | 4.5 ±0.5 | 0.3 ±0.2 | 12.5 ±1.0 | 27.4 ±5.1 |
中国・朝鮮自治区 | 22 | 5.2 ±0.5 | 0.3 ±0.2 | 11.9 ±1.1 | 26.0 ±7.4 |
北朝鮮 | 32 | 4.7 ±0.6 | 0.4 ±0.3 | 12.1 ±1.4 | 25.9 ±7.8 |
韓国 | 35 | 4.8 ±0.6 | 0.3 ±0.2 | 12.2 ±1.3 | 26.6 ±7.8 |
唐白朮(カラビャクジュツ)ALL | 117 | 3.4 ±0.3 | 0.2 ±0.1 | 14.9 ±4.1 | 29.7 ±11.6 |
中国・浙江 | 76 | 3.3 ±0.3 | 0.2 ±0.1 | 14.2 ±2.2 | 29.5 ±12.1 |
中国・湖南 | 12 | 3.7 ±0.4 | 0.2 ±0.1 | 14.4 ±1.6 | 27.7 ±5.9 |
白朮(ワビャクジュツ)ALLと唐白朮(カラビャクジュツ)ALLの比較
- 灰分
- 白朮(ワビャクジュツ)ALL > 唐白朮(カラビャクジュツ) ALL ( p < 0.05 )
- 希エタノールエキス含量
- 白朮(ワビャクジュツ)ALL と唐白朮(カラビャクジュツ)ALLで有意差無し.
白朮(ワビャクジュツ)の産地による比較
- 灰分
- 中国・朝鮮自治区 > 韓国,中国・遼寧,北朝鮮,中国・吉林,中国・黒龍江 ( p < 0.05 )
- 希エタノールエキス含量 :
- 中国・遼寧,中国・吉林 > 韓国,中国・朝鮮自治区,北朝鮮 ( p < 0.05 )
唐白朮(カラビャクジュツ)の産地による比較
- 灰分
- 中国・湖南 > 中国・浙江 ( p < 0.05 )
- 希エタノールエキス含量
- 中国・湖南と中国・浙江で有意差無し.
規格 | 検体数 | 灰分 7.0%以下 |
酸不溶性灰分 1.0%以下 |
乾燥減量 | 希エタノール エキス含量 |
---|---|---|---|---|---|
皮去:手剥き | 35 | 4.7 ±0.5 | 0.2 ±0.1 | 12.3 ±1.2 | 30.2 ±9.9 |
皮去:機械剥き | 12 | 5.0 ±0.6 | 0.3 ±0.1 | 12.1 ±0.8 | 28.7 ±7.3 |
皮付 | 25 | 5.1 ±0.7 | 0.7 ±0.4 | 13.0 ±2.3 | 26.7 ±6.9 |
- 灰分
- 皮付 > 皮去:手剥き ( p < 0.05 )
- 皮去:機械剥き > 皮去:手剥き ( p < 0.1 ).
- 希エタノールエキス含量
- 皮去:手剥き,皮去:機械剥き,皮付に有意差無し.
等級 | 検体数 | 灰分 7.0%以下 |
酸不溶性灰分 1.0%以下 |
乾燥減量 | 希エタノール エキス含量 |
---|---|---|---|---|---|
1 等 | 42 | 3.4 ±0.4 | 0.2 ±0.1 | 13.8 ±1.9 | 25.2 ±4.4 |
2 等 | 16 | 3.2 ±0.2 | 0.2 ±0.1 | 13.3 ±1.3 | 23.2 ±1.9 |
- 灰分
- 1 等 > 2 等 ( p < 0.05 ).
- 希エタノールエキス含量
- 1 等 > 2 等 ( p < 0.1 ).
- 精油含量の比較 (JP
- 0.5 mL以上/50.0g)
○白朮(ワビャクジュツ) : 中国・朝鮮自治区 > 中国・吉林,中国・遼寧,北朝鮮 その他は有意差無し. ○唐白朮(カラビャクジュツ) : 中国・湖南と中国・浙江で有意差無し. |
○皮去:手剥き > 皮付,皮去:機械剥き |
○等級で有意差無し. |
内部形態:鏡検
- 生薬の性状 JP15
ワビャクジュツ
本品の周皮を除いたものは不整塊状または不規則に屈曲した円柱状を呈し、長さ3~8cm、径2~3cmである。外面は淡灰黄色~淡黄白色で、ところどころ灰褐色である。周皮を付けているものは外面は灰褐色で、しばしば結節状に隆起し、あらいしわがある。折りにくく、折面は繊維性である。 本品の横切面には淡黄褐色~褐色の分泌物による細点がある。 本品は特異なにおいがあり、味はわずかに苦い。 本品の横切片を鏡検するとき、周皮には石細胞層を伴い、皮部の柔組織中にはしばしば師部の外側に接して繊維束があり、放射組織の末端部には淡褐色~褐色の内容物を含む油室がある。木部には大きい髄を囲んで放射状に配列した道管とそれを囲む著しい繊維束がある。髄及び放射組織中には皮部と同様な油室があり、柔組織中にはイヌリンの結晶及びシュウ酸カルシウムの小針晶を含む。
カラビャクジュツ
本品は不整に肥大した塊状を呈し、長さ4~8cm、径2~5cmで外面は灰黄色~暗褐色を呈し、ところどころにこぶ状の小突起がある。折りにくく、破砕面は淡褐色~暗褐色で、木部の繊維性が著しい。 本品は特異なにおいがあり、味はわずかに甘く、後にわずかに苦い。 本品の横切片を鏡検するとき、周皮は石細胞層を伴い、通例、皮部には繊維を欠き、師部放射組織及びその末端部には黄褐色の内容物を含む油室がある。木部には大きい髄を囲んで放射状に配列した道管とそれを囲む著しい繊維束がある。髄及び放射組織中には皮部と同様な油室があり、柔組織中にはイヌリンの結晶及びシュウ酸カルシウムの小針晶を含む。
丸手・長手の比較
○白朮(丸手) <中国吉林省> |
○白朮(長手・A部分) <中国黒竜江省> |
○白朮(長手・B部分) <中国黒竜江省> |
白朮(長手)のAの部分の横切面では、白朮(丸手)と同様に髄は広く油室も見られたが、Bの部分では、髄が小さく油室は見られなかった。 |
手剥き・機械剥きの比較
白朮(手剥き・吉林省)①、②のように、木部に繊維群がほとんど見られないものと、大きな木部繊維群と皮層にも大きな繊維群が見られるものがある。オケラA. japonica について同様の報告がある。 皮部繊維について、大きな繊維群があるもの、わずかに認められるもの、ほとんど認められないものがある。
○白朮(手剥き) <中国吉林省> ① |
○白朮(手剥き) <中国吉林省> ② |
○白朮(機械剥き) <中国吉林省> |
- 手剥き・機械剥きについて
- 手剥きでは周皮がほとんど認められないが、機械剥きはところどころに認められる。
- 機械剥きでは皮層および髄に大きな裂隙が多数認められる。
- 裂隙は、手剥きでも認められるが、機械剥きと比較すると小さく、少ない。
皮付白朮・唐白朮
○白朮(皮付) <中国遼寧省> |
○唐白朮 <中国浙江省> |
唐白朮(浙江省)の木部において、形成層に近い道管列は放射状に配列し、ほとんど木部繊維を伴わず、木部柔細胞に囲まれて存在し、それより髄に近い道管列は発達した巨大な繊維群に囲まれている。皮層、放射組織および髄には油室が存在するが、蒼朮と比べてかなり小さい。これはオオバナオケラA. ovataに一致する。