Tochimoto:Ephedrae Herba
Line 266: | Line 266: | ||
| | | | ||
|- | |- | ||
− | |[[Image:Tochimoto-Ephedra-4562.jpg]] | + | | [[Image:Tochimoto-Ephedra-4562.jpg]] |
|[[Image:Tochimoto-Ephedra-4564.jpg]] | |[[Image:Tochimoto-Ephedra-4564.jpg]] | ||
| | | | ||
Line 275: | Line 275: | ||
|- | |- | ||
|[[Image:Tochimoto-Ephedra-4571.jpg]] | |[[Image:Tochimoto-Ephedra-4571.jpg]] | ||
− | |[[Image:Tochimoto-Ephedra-4565.jpg]] | + | | [[Image:Tochimoto-Ephedra-4565.jpg]] |
|[[Image:Tochimoto-Ephedra-4573.jpg]] | |[[Image:Tochimoto-Ephedra-4573.jpg]] | ||
|- | |- | ||
Line 283: | Line 283: | ||
|- | |- | ||
|[[Image:Tochimoto-Ephedra-4572.jpg]] | |[[Image:Tochimoto-Ephedra-4572.jpg]] | ||
− | |[[Image:Tochimoto-Ephedra-4566.jpg]] | + | | [[Image:Tochimoto-Ephedra-4566.jpg]] |
|[[Image:Tochimoto-Ephedra-4574.jpg]] | |[[Image:Tochimoto-Ephedra-4574.jpg]] | ||
|- | |- |
Revision as of 14:57, 6 December 2010
Crude-drug Top Gallery |
General Index | Names | Prescriptions | Books | Journals | Terminology | Chinese Medicines |
出典: 栃本天海堂創立60周年記念誌 |
麻黄 (Ephedrae Herba)
麻黄はマオウ科のEphedra sinica Stapf、Ephedra intermedia Schrenk et C. A. Meyer またはEphedra equisetina Bunge の地上茎を基原とする。舐めたときに麻ひ感があり、外観が黄色であることから麻黄と呼ばれている。また麻黄は六陳八新の六陳の一つであり、古いものが好まれる。甘草と並んで麻黄の採集は中国の砂漠化や自然破壊の一因とされ、安定供給に不安がある生薬である。また「違法薬物」である覚醒剤原料に麻黄が使用される経緯から、米国は「違法薬物」の不法輸出の規制を強化するよう関係国に要請した。その要請を受けて中国は、1998年に覚醒剤の原料となる「麻黄類」の輸出規制を強化し、現在では麻黄原形での輸出は完全に禁止されている。ただし麻黄を刻んだものは、麻黄草粉(切断麻黄)として規制の枠から外され、現在も中国から輸入されている。(より詳しく見る→栃本天海堂創立60周年記念誌)
|
麻 黄
『日本薬局方 第15改正(JP15)』
- 麻黄:EPHEDRAE HERBA
- Ephedra sinica Stapf、Ephedra intermedia Schrenk et C. A. Meyer またはEphedra equisetina Bunge (Ephedraceae) の地上茎と規定されている。
『中華人民共和国薬典 2005年版』
- 麻黄:HERBA EPHEDRAE
- 草麻黄Ephedra sinica Stapf、中麻黄Ephedra intermedia Schrenk et C. A. Mey. あるいは木賊麻黄Ephedra equisetina Bge. の干燥した草質茎と規定されている。
『大韓薬典 第9改正』
- 마황 麻黄:EPHEDRAE HERBA
- 초마황(草麻黄)Ephedra sinica Stapf、중마황(中麻黄) Ephedra intermedia Schrenk et C. A. Meyer または목적마황(木賊麻黄)Ephedra equisetina Bunge の草質茎と規定されている。
市場流通品と現状
市場品は草麻黄E. sinicaが主流で、一部プソイドエフェドリン含量の高い中麻黄E. intermediaが流通する。商品規格は基原植物に関係なく「束麻黄」「散麻黄」の2種類に分けられていたが、現在は刻んだ状態の剤形しか輸入できなくなった。束麻黄はきれいに砲弾形に束ね紐でしばったもの、散麻黄は屈曲や枝分かれの多いばらばらのものである。 特殊な麻黄類としては「去節麻黄」「麻黄根」があるがほとんど流通していない。
調剤用の麻黄として草麻黄と中麻黄がある。その違いは、含有するエフェドリンとプソイドエフェドリンの含量比であり、中麻黄は抗炎症作用が強く、利尿作用に優れているプソイドエフェドリンを多く含む。 当社では、麻黄は六陳八新の六陳の一つであることから、採集後1年以上経過したものを市場に供給している。また漢方エキス製剤メーカーも緑色の強い新物(シンモノ:採集後1年以内のもの)の麻黄は、エキスの色調に影響するので、古物(ヒネモノ:採集から1年以上経過したもの)の黄褐色の麻黄を好む傾向がある。
近年の中国の麻黄生産および輸入数量(通産省輸出統計より)
1984年ころから中国は草原資源の保護、環境保全を推し進め「退耕還林・退耕還草」の方針を打ち出し、色々な規制通達が出たことにより1996年には麻黄の供給不安がおこり、輸入が増大した。また1998年には麻黄類製品出荷の管理強化が打ち出され1999年~2002年にも輸入量が600トン前後と急増する。 1970年ころはパキスタンから、また1991年まで旧ソ連から輸入されたことがあるが、現在では、麻黄の輸入は100%中国に依存している。また現在、中国政府は日本向けとして300トン/年の上限の輸出枠を設定しており、需要が増大しても中国からの輸入増大は困難な状況である。
自然保護といわれながら、2000年の内蒙古自治区だけの麻黄生産量は23,000トンにのぼる。麻黄の輸出規制の目的は、資源枯渇の問題というよりは、むしろ中国のWTO加盟に関連した「麻薬関係の取り締まり」と、黄砂問題に象徴される砂漠の砂を固定する「固砂植物の保護」であると考えられる。
旗県市区 | 採集区 | 採集量(トン) |
---|---|---|
科爾泌区 | 莫力廟蘇木、哈日干吐、慶和郷 | 100 |
開魯県 | 叉和、北清河、俊昌、北興 | 1,200 |
扎 旗 | 巴彦芒哈、道老杜、烏力吉木仁、査嘎吐布 | 5,000 |
左 中 | 花胡碩、珠日河牧場、花吐古拉、哈日干吐、白音花、烏斯図、協代 | 6,000 |
後 旗 | 甘鎮、朝魯吐、伊胡塔、白音毛都、巴胡塔、努古斯台、花灯、烏蘭敦道、 協尓塔拉、哈拉勿蘇、査金台牧場 |
9,500 |
庫侘旗 | 額勒順、茫汗、三家子、庫侘鎮、哈尓稿、六家子、三道、白音花 | 1,900 |
合 計 | 23,700 |
生産加工状況
中国内蒙古自治区の自生地(草麻黄E. sinica)
中国甘粛省における加工(中麻黄E. intermedia)
理化学的品質評価
産地 | 検体数 | 灰分 11.0%以下 |
酸不溶性灰分 2.0%以下 |
乾燥減量 | 希エタノール エキス含量 |
---|---|---|---|---|---|
中国ALL | 138 | 7.8 ±1.0 | 0.5 ±0.3 | 8.6 ±1.5 | 28.7 ±3.6 |
青海 | 5 | 6.7 ±0.4 | 0.5 ±0.2 | 7.5 ±1.6 | 28.0 ±2.4 |
甘粛 | 15 | 7.1 ±0.9 | 0.8 ±0.4 | 8.8 ±1.5 | 26.9 ±5.0 |
内蒙古 | 37 | 7.9 ±0.8 | 0.5 ±0.2 | 8.4 ±1.4 | 28.7 ±2.6 |
天津 | 5 | 7.5 ±2.1 | 0.5 ±0.2 | 8.0 ±0.6 | 27.6 ±2.0 |
遼寧 | 19 | 8.2 ±0.9 | 0.4 ±0.2 | 9.2 ±0.9 | 29.1 ±2.4 |
吉林 | 14 | 8.1 ±0.7 | 0.6 ±0.2 | 8.9 ±2.4 | 29.9 ±1.8 |
- 灰分
- 遼寧省、吉林省、内蒙古 > 甘粛省、 青海省 ( p < 0.05 ) その他は有意差無し
- 希エタノールエキス含量
- 吉林省> 天津省、甘粛省 ( p < 0.05 )
- 吉林省> 内蒙古、青海省 ( p < 0.1 ) その他は有意差無し
産地 | 検体数 | 総アルカロイド(E+PE) 0.7%以上 |
ephedrine | pseudoephedrine |
---|---|---|---|---|
青海 | 10 | 1.44 ±0.45 | 0.30 ±0.36 | 1.14 ±0.55 |
甘粛 | 19 | 1.31 ±0.36 | 0.50 ±0.52 | 0.81 ±0.34 |
陜西 | 9 | 1.30 ±0.36 | 0.66 ±0.14 | 0.64 ±0.26 |
内蒙古 | 55 | 1.30 ±0.31 | 0.85 ±0.24 | 0.45 ±0.28 |
河北 | 3 | 1.22 ±0.13 | 0.93 ±0.14 | 0.29 ±0.03 |
天津 | 4 | 1.44 ±0.29 | 1.03 ±0.18 | 0.41 ±0.12 |
遼寧 | 16 | 1.47 ±0.31 | 1.14 ±0.27 | 0.32 ±0.12 |
吉林 | 16 | 1.41 ±0.27 | 1.10 ±0.33 | 0.31 ±0.15 |
黒竜江 | 9 | 1.47 ±0.37 | 0.93 ±0.27 | 0.54 ±0.47 |
Topic
1.産地別 総アルカロイド mean ( ephedrine : 赤, pseudoephedrine : 青 )
2.去節麻黄
上から、 ① 髄部の粉を除いた外皮のみ ② 髄部の粉のみ ③ 節部のみ ④ 去節麻黄(全形生薬から試作) ⑤ 市場品・去節麻黄: PE>E タイプ ⑥ 市場品・去節麻黄: E>PE タイプ |
内部形態:鏡検
JP15:内部形態についての記載はない。
- 生薬の性状
本品は細い円柱状~だ円柱状を呈し、径0.1~0.2cm、節間の長さ3~5cm、淡緑色~黄緑色である。外面に多数の平行する縦みぞがあり、節部にはりん片状の葉がある。葉は長さ0.2~0.4cm、淡褐色~褐色で、通例、対生し、その基部は合着して、筒状になっている。 茎の横切面をルーぺ視するとき、円形~だ円形で、周辺部は灰緑色~黄緑色を呈し、中心部は赤紫色の物質を充満するか又は中空である。節間部を折るとき、折面の周辺部は繊維性で、縦に裂けやすい。
本品はわずかににおいがあり、味は渋くてわずかに苦く、やや麻ひ性である。
<center>
・ E. sinica(草麻黄) ○ 茎の鱗片葉 |
・ E. intermedia(中麻黄) ○ 茎の鱗片葉 |
・ E. equisetina(木賊麻黄) ○ 茎の鱗片葉 |
○ 基部 | ○ 基部 | ○ 基部 |
○ 先端部 | ○ 先端部 | ○ 先端部 |
○ 表皮 | ○ 表皮 | ○ 表皮 |
○ 表皮拡大 | ○ 表皮拡大 | ○ 表皮拡大 |
- E. sinica(草麻黄)
一般的に茎の鱗片葉は2片で1/2分裂。茎の髄部は円形~だ円形で、茎表皮にクチクラ瘤が認められる。
- E. intermedia(中麻黄)
一般的に茎の鱗片葉は3片で1/3分裂。茎の髄部は鈍三角形で、茎表皮に比較的多くのクチクラ瘤が認められる。
- E. equisetina(木賊麻黄)
一般的に茎の鱗片葉は2片で1/4分裂。茎の髄部は円形~だ円形で、茎表皮にクチクラ瘤は認められない。
・麻黄 <甘粛省>① ○基部 |
・麻黄 <甘粛省>② ○基部 |
・麗江麻黄 ○基部 |
○ 先端部 | ・麻黄 <甘粛省>③ ○基部 |
|
○ 表皮 | ・麻黄 <甘粛省>④ ○基部 |
○ 表皮 |
○ 表皮拡大 | ・麻黄 <甘粛省>⑤ ○基部 |
○ 表皮拡大 |
- 麻黄 <甘粛省>
茎の髄部は鈍三角形で、茎表皮に比較的多くのクチクラ瘤が認められる。
- 麗江麻黄
茎の髄部は円形~だ円形で、茎表皮に非常に多いクチクラ瘤が認められる。