CrudeDrug:Poria/Abstract
From Metabolomics.JP
茯苓 (Poria)
茯苓はサルノコシカケ科のマツホドPoria cocos Wolfの菌核を基原とし、通例、外層をほとんど除いたものを基原とする。原名は「伏霊」といい、古人は松の神霊によって根に伏結してできると考え「伏霊」と名付けられた。「茯苓」と呼ばれるようになったのは文字の誤りであるといわれている。 赤松などの枯木、伐採木の周辺に自生することが多い。日本国内でも多く採集されていたが、採集者の減少などにより生産量は減少し、朝鮮半島産の茯苓が市場を占めていた。日本・朝鮮半島産とも、内部は薄いピンク色をしており、キメが細かく重質であった。野生品の採集は資源の枯渇が懸念されていたが、1980年代に入って中国から安価な栽培茯苓が大量に輸入されるようになって、市場は中国産が主流になった。 中国産栽培茯苓の輸入当初は、内部の色調は真っ白で立方形に加工されており、品質は良好と判断されたが、輸入後の夏が過ぎるころ、ほとんどが虫害を受けた。茯苓は経験的に虫害を受けないとされていたが、中国産の栽培茯苓は軽質で虫害を受けやすいことに驚かされた経緯がある。 多くの菌核は、農薬などを吸着しやすい傾向があり、茯苓も例外ではなく、農地で栽培された中国産茯苓はBHCなどの残留農薬を認めることがあるので注意が必要である。 (出典:栃本天海堂創立60周年記念誌)