CrudeDrug:Artemisiae capillaris Flos
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茵陳蒿 (Artemisiae capillaris Flos)
茵陳蒿はキク科のカワラヨモギArtemisia capillaris Thunbergを基原とする。「因陳蒿」つまり陳旧の根より生じるよもぎというカワラヨモギの性質から名付けられ、後に草冠を付けられた。日本では通例、秋口に採集した地上部の頭花を使用するが、中国では春季の幼苗で背丈が6~10cmころの地上部を採集した「綿茵陳」と秋季に花の蕾を採集した「茵陳蒿」の2種類が同効生薬とされている。本品は清熱・利水・利胆薬として使用される生薬で、茵蔯蒿湯、茵蔯五苓散などに配合されている。 神農本草経の上品に「因陳」の名で収載され、「名医別録」では「五月及び立秋に採り陰乾する」と記載されている。 (より詳しく見る→栃本天海堂創立60周年記念誌)
Picture
Photographs of Artemisia Capillaris Flower (インチンコウ) (by Alps Pharm. アルプス薬品) | |||||||||||||||||
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茵陳蒿
インチンコウ Artemisia Capillaris Flower | |
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Species * ... non-plant |
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Part(s) Used | 頭花 |
Property | 本品は卵形~球形の長さ1.5~2mm、径約2mmの頭花を主とし、糸状の葉と花序軸からなる。頭花の外面は淡緑色~淡黄褐色、葉の外面は緑色~緑褐色、花序軸の外面は緑褐色~暗褐色を呈する。頭花をルーペ視するとき、総ほう片は3~4列に覆瓦状に並び、外片は卵形で鈍頭、内片は楕円形で外片より長く、長さ1.5mm、内片の中央部は竜骨状となり、周辺部は広く薄膜質となる。小花は筒状花で、頭花の周辺部のものは雌性花、中央部は両性花である。そう果は倒卵形で、長さ0.8mmである。質は軽い。
本品は特異な弱いにおいがあり、味はやや辛く、わずかに麻痺性である。 |
Test | TLC法:本品の粉末0.5gにメタノール10mLを加え、3分間振り混ぜた後、ろ過し、ろ液を試料溶液とする。この液につき、薄層クロマトグラフィーにより試験を行う。試料溶液5μLを薄層クロマトグラフィー用シリカゲルを用いて調製した薄層板にスポットする。次にアセトン/ヘキサン混液(1:1)を展開溶媒として約10cm展開した後、薄層板を風乾する。これに紫外線(主波長365nm)を照射するとき、Rf値0.5付近に青色の蛍光を発する主スポットを認める。 |
Drying loss | 12.0 %以下(6時間) |
Ash content | 9.0% 以下 |
Acid-insoluble ash | 2.0 %以下 |
Pharmacopeia | 日局 16-p1450 |
Effect | 利胆、利尿、消炎 |
Constituent | カピラリシン、カピリン、6,7-ジメトキシクマリン、カピラルテミシンA、カピラルテミシンB、デオキシカピラルテミシン capillarisin, capillin, 6,7-dimethoxycoumarin, capillartemisin A, capillartemisin B, deoxycapillartemisin |
Links |
References
- 【基原動植物から灰分等まで】第十六改正日本薬局方
- 【効能】矢作忠弘, 渥美聡孝, (以下8名)..., 牧野利明「歴代成書に見られる生薬の効能に関する記載のデータベース化」生薬学雑誌, 71(1), 2017
- 【成分】生薬単 (伊藤美千穂 北山隆 監修; 原島広至 著) NTS
Prescriptions 処方一覧
茵蔯五苓散 (インチンゴレイサン) 茵蔯蒿湯 (インチンコウトウ) 加味解毒湯 (カミゲドクトウ) 甘露飲 (カンロイン)
歴代成書に見られる生薬の効能に関する記載
利用する場合は以下を引用してください。
- 矢作 忠弘,石内勘一郎,渥美 聡孝,三宅 克典,森永 紀,伏見 裕利,大山 雅義,森川 敏生,田中 謙,有田 正規,牧野 利明「歴代成書に見られる生薬の効能に関する記載のデータベース化」生薬学雑誌, 71(1), 1-36, 2017
番号 | 書名 | 出版年 | 記載 |
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3 | 局方医薬品承認申請の手引き | 1980 | 収載なし |
4 | 生薬のエキス製剤の製造販売承認申請に係るガイダンスついて(2015年12月25日薬生審査発) | 2015 | 収載なし |
5 | JP7 第1部 大改訂版 第2部 解説書(1966) | 1961 | 収載なし |
6 | JP8 解説書 | 1971 | 収載なし |
7 | JP9 解説書 | 1976 | 収載なし |
8 | JP10 解説書 | 1981 | 収載なし |
9 | JP11 解説書 | 1986 | 収載なし |
10 | JP12 解説書 | 1991 | 収載なし |
11 | JP13 解説書 | 1996 | 応用・適用の記載なし D-74 |
12 | JP14 解説書 | 2001 | 応用・適応の記載なし D-75 |
13 | JP15 解説書 | 2006 | 応用・適応の記載なし D-36 |
14 | JP16 解説書 | 2011 | 応用・適応の記載なし D-37 |
15 | 登録販売者試験実施ガイドライン作成検討会_試験問題の作成に関する手引き(厚生労働省医薬食品局総務課2007年7月) | 2007 | 収載なし |
19 | 『改訂生藥學』アルベルト・ウィカンド 大井玄洞 | 1887 | 記載なし |
20 | 『生藥學』第5版 下山順一郎 | 1901 | 記載なし |
21 | 『簡明生藥學』島崎健造 | 1909 | 記載なし |
22 | 『最新薬学全書 第6編 生薬学』 伊藤治輔 編、日本薬学講習会 | 1913 | 記載なし |
23 | 『生藥學』第13版 下山純一郎 朝比奈泰彦 | 1916 | 記載なし |
24 | 『和漢薬物学』日野五七郎 一色直太郎 同済号書房 たにぐち書店復刻版 | 1931 | 正P406: 黄疸を治する漢方唯一の聖薬にして、利尿、解熱作用をも具有す |
25 | 『薬理的生薬学』村上師壽 三省堂 | 1933 | P406: 茶剤とす。黄疸に用ふ。 |
26 | 『生藥學』第20版 下山順一郎 朝比奈泰彦 藤田直市 | 1934 | 記載なし |
27 | 『生藥學』第27版 下山純一郎 朝比奈泰彦 藤田直市 | 1943 | 記載なし |
28 | 『生藥學教科書』木村康一 | 1949 | 記載なし |
29 | 『最新生薬学』刈米達夫 | 1949 | 記載なし |
30 | 『生薬学』三橋博、醫學書院 | 1958 | 記載なし |
31 | 『生薬学』第4版、藤田路一 | 1963 | 記載なし |
32 | 『新編生薬学』東丈夫 名越規朗 廣川書店 | 1965 | 記載なし |
33 | 『生薬学総論』柴田承二 東丈夫 木島正夫 下村孟 廣川書店 | 1966 | 記載なし |
34 | 『生薬学』稲垣勲 嶋野武 嶋田玄彌 長沢元夫 南江堂 | 1967 | 記載なし |
35 | 『和漢生薬』刈米達夫 廣川書店 植物分類学での順 | 1971 | P5: 消炎、利尿。利胆の効あり。黄疸の要薬とする。 |
36 | 『最新生薬学 第三改槁版』刈米達夫 廣川書店 | 1973 | P384: 消炎、利尿。大黄と配合して黄疸に用いる。 |
37 | 『スタインエッガー・ヘンゼル生薬学〔上〕‐化学・薬理学へのアプローチ‐第3版』糸川秀治 太田明廣 西川嘉廣 廣川書店 | 1975 | 記載なし |
38 | 『スタインエッガー・ヘンゼル生薬学〔下〕‐化学・薬理学へのアプローチ‐第3版』糸川秀治 太田明廣 西川嘉廣 廣川書店 | 1976 | 記載なし |
39 | 『生薬学』 木島正夫 澤田徳之助 秦清之 朝倉書店 | 1978 | P238: 肝炎、黄疸に対し消炎利胆薬として各種漢方処方に配合。 |
40 | 『新常用和漢薬集』訂正第2版 東京生薬協会 編集 南江堂 | 1978 | P7: 消炎性利尿剤、流行性肝炎、カタル性黄疸に用いる。 |
41 | 『最新生薬学総覧』伊沢一男 学文社 | 1978 | 記載なし |
42 | 彩色写生図 日本の薬用植物〔生薬〕 生薬-成分-漢方-〔処方例〕高取治輔 廣川書店 | 1980 | P4: 消炎、利尿、利胆 |
43 | 『生薬学第2版』北川勲 三川潮 庄司順三 滝戸道夫 友田正司 西岡五夫 廣川書店 | 1982 | P110: 漢方で消炎利胆、解熱、利尿を目標に黄疸、肝炎、胆嚢炎などに用いる。 |
44 | 『コメンタリー局方生薬』初版 桑野重昭 山内和子 米田該典 廣川書店 | 1984 | 記載なし |
45 | 『新訂生薬学 第2版』長沢元夫 野呂征男 萩原幸夫 木村孟淳 南江堂 | 1987 | P130: 利胆、消炎、利水、降圧剤。黄疸の要薬。 |
46 | 『コメンタリー局方生薬』 第2版 桑野重昭 山内和子 米田該典 廣川書店 | 1987 | 記載なし |
47 | 『INTEGRATED ESSENTIALS 生薬学 改訂第3版』三橋博 指田豊 山﨑和男 南江堂 | 1989 | 記載なし |
48 | 『生薬学概論』 難波恒雄 津田喜典編 南江堂 | 1990 | P216: 利胆、消炎利尿薬 |
49 | 『生薬学改訂第4版』 三橋博 井上隆夫編集 南江堂 | 1992 | 記載なし |
50 | 『天然薬物・生薬学』 初版 奥田拓男編 廣川書店 | 1993 | P179: 利胆、抗肝炎、抗糸状菌薬。漢方では利水滲湿薬として主として黄疸症状用の薬に配合する。 |
51 | 『薬用資源学』初版 山崎幹夫 斉藤和季編 丸善 | 1997 | P171: 漢方処方用薬(肝障害、黄疸) |
52 | 『漢方薬理学』高木敬次郎 木村正康 南山堂 | 1997 | P212: 黄疸。 |
53 | 『生薬学概論(改訂第3版)』 難波恒雄 津田喜典 南江堂 | 1998 | P216: 利胆、消炎利尿薬 |
54 | 『生薬学第6版』 北川勲 三川潮 庄司順三 滝戸道夫 友田正司 西岡五夫 廣川書店 | 2001 | P101: 漢方で消炎利胆、解熱、利尿を目標に黄疸、肝炎、胆嚢炎などに用いる。 |
55 | 『INTEGRATED ESSENTIALS 生薬学 改訂第6版』 指田豊 山﨑和男 南江堂 | 2002 | P276: 利胆、利尿を目的に茵?蒿湯などの漢方薬に配合。 |
56 | 『入門漢方医学』初版 日本東洋医学会学術教育委員会 編 日本東洋医学会発行 | 2002 | P149: 利尿、利胆、解熱 |
57 | 『漢方・生薬学』久保道德 吉川雅之 廣川書店 | 2003 | P170: 漢方では、黄疸や肝臓・胆のうの症状改善を目的に用いられる。その他、歯周病や結膜炎に用いられる甘露飲がある。中国では、肝臓の治療にはほとんど綿茵?が配合される。民間療法では黄疸、じんま疹などに10?20 g使用する。 |
58 | 『薬学生・薬剤師のための知っておきたい生薬100ー含漢方処方ー』第1版、日本薬学会編、東京化学同人 | 2004 | P3: 主として黄疸の治療や肝臓、胆嚢の症状改善を目的として配剤される。歯周病や結膜炎の治療の適用される甘露飲に配剤されるほか、民間薬として黄疸やじんま疹の治療に用いられている。配合処方: 茵?蒿湯、茵?五苓散、加味解毒湯。 |
59 | 『薬学生のための漢方薬入門』第2版、指田豊 三巻祥浩、廣川書店 | 2004 | P36: 消炎性利尿薬で、体内の炎症による熱を去り、黄疸を治し、小便不利に用いる。処方例: 茵?蒿湯、茵?五苓散 |
60 | 『スタンダード薬学シリーズ3 化学系薬学Ⅲ 自然が生み出す薬物』第1版 社団法人日本薬学会 編 東京化学同人 | 2005 | P53: 利胆、利尿に用いる。抗菌作用があり、民間ではゼニタムシ、シラクモなどに外用する。 |
61 | 『薬用植物学 改訂第6版』 野呂征男 水野瑞夫 木村孟淳 田中俊弘 南江堂 | 2006 | P229: (略)黄疸、肝炎、蕁麻疹、浮腫の治療に用いる。 |
62 | 『パートナー生薬学』 指田豊 山﨑和男 竹谷孝一 南江堂 | 2007 | P279: もっぱら漢方薬に用い、清熱し湿邪を除き黄疸を治す薬能があるとされる。黄疸、小便不利、風疹などを主治する。胆汁分泌作用などを期待して漢方処方に配剤される。 |
63 | 『生薬単』 伊藤美千穂 北山隆 NTS | 2007 | P30 : 消炎、利胆、解熱、利尿、黄疸の治療や肝臓、胆嚢の症状改善 |
64 | 『ベーシック薬学教科書シリーズ⑦生薬学・天然物化学』吉川雅之編 化学同人 | 2008 | P30: 消炎、利胆、解熱、利尿作用があり、黄疸の治療に用いられる。漢方処方: 茵?蒿湯など |
65 | 『伝統医薬学・生薬学』 御影雅幸 木村正幸 南江堂 | 2009 | P104: 利胆、消炎性利尿 (中)利水滲湿薬。方剤: 茵?蒿湯、茵?五苓散 |
66 | 『日本伝統医学テキスト漢方編』平成22-23年度厚生労働科学研究費補助金『統合医療を推進するための日本伝統医学の標準化』研究班 | 2012 | P338: 黄疸や肝臓・胆嚢の症状改善を目的に、茵?蒿湯や茵?五苓散などの漢方処方に配合されている。利胆作用、肝保護作用、抗炎症作用に関する報告がされている。 |
67 | 『新訂生薬学 改訂第7版』 木村孟淳 田中俊弘 水上元 南江堂 | 2012 | P134: 利胆、消炎、利水、降圧薬。黄疸の要薬。 |
68 | 『歴代日本薬局方収載生薬大事典』 木下武司著 | 2015 | P25: もっぱら漢方に用いる |
73 | 青本「化学」、薬学ゼミナール | 2016 | P576: 消炎、利胆、利尿 |
74 | コアカリ重点ポイント集「化学系薬学」改訂第4版 薬学ゼミナール | 2014 | P150: 利胆、利尿 |