CrudeDrug:Zingiberis Processum Rhizoma

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生姜、乾姜はショウガ科のショウガ Zingiber officinale Roscoe の根茎を基原とする。日本市場では生姜は外皮を去り乾燥するか、外皮を付けたまま切片状にスライスして乾燥したもので、乾姜は外皮を付けたまま湯通し、もしくは蒸した後乾燥したものである。生姜は辛温解表・鎮嘔薬として、乾姜は温中散寒・止痛薬として、多くの漢方方剤に配合されている。中国と韓国では、乾燥させていない新鮮なものを生姜、そのまま乾燥させたものを乾姜としており日本市場品とは名称が異なる。中国には、更に別に「均姜」「炮姜」と称するものもある。 神農本草経には「生姜」という名称では収載はなく、「乾姜」として中品に収載されており、「生の者尤も良し」という記載がある。一方、名医別録には「生姜」が収載され、「九月に採る」との記載しかないため、こちらは新鮮なショウガのようである。 (出典:栃本天海堂創立60周年記念誌)

日本と中国における生姜(ショウキョウ)、乾姜(カンキョウ)の違い
Name difference of "Fresh" and "Dried" ginger between Japan and China
新鮮な根茎
Fresh ginger
乾燥根茎
Dried ginger
湯通しまたは蒸した後に乾燥した根茎
Steamed and dried ginger
日本での言い方
Japan
ひね生姜
Hineshokyo
生姜
乾生姜
Shokyo
乾姜
Kankyo
中国での言い方
China
生姜
Shokyo
乾姜
Kankyo
なし
never used

乾姜

References

  1. 【基原動植物から灰分等まで】第十六改正日本薬局方
  2. 【効能】矢作忠弘, 渥美聡孝, (以下8名)..., 牧野利明「歴代成書に見られる生薬の効能に関する記載のデータベース化」生薬学雑誌, 71(1), 2017
  3. 【成分】生薬単 (伊藤美千穂 北山隆 監修; 原島広至 著) NTS

Prescriptions 処方一覧

茯苓飲 (ブクリョウイン)  茯苓飲合半夏厚朴湯 (ブクリョウインゴウハンゲコウボクトウ)  茯苓四逆湯 (ブクリョウシギャクトウ)  分消湯 (ブンショウトウ)  附子人参湯 (ブシニンジントウ)  附子理中湯 (ブシリチュウトウ)  竹茹温胆湯 (チクジョウンタントウ)  釣藤散 (チョウトウサン)  中建中湯 (チュウケンチュウトウ)  大防風湯 (ダイボウフウトウ)  大陥胸湯 (ダイカンキョウトウ)  大建中湯 (ダイケンチュウトウ)  五積散 (ゴシャクサン)  八味逍遙散 (ハチミショウヨウサン)  白通加猪胆汁湯 (ハクツウカチョタンジュウトウ)  白通湯 (ハクツウトウ)  半夏白朮天麻湯 (ハンゲビャクジュツテンマトウ)  半夏瀉心湯 (ハンゲシャシントウ)  参蘇飲 (ジンソイン)  十味敗毒湯 (ジュウミハイドクトウ)  解急蜀椒湯 (カイキュウショクショウトウ)  加味逍遙散 (カミショウヨウサン)  乾姜附子湯 (カンキョウブシトウ)  乾姜人参半夏丸 (カンキョウニンジンハンゲガン)  乾姜人参半夏丸料 (カンキョウニンジンハンゲガンリョウ)  乾姜黄連黄芩人参湯 (カンキョウオウレンオウゴンニンジントウ)  甘草乾姜湯 (カンゾウカンキョウトウ)  甘草瀉心湯 (カンゾウシャシントウ)  桂枝加厚朴杏仁湯 (ケイシカコウボクキョウニントウ)  桂枝加芍薬生姜人参湯 (ケイシカシャクヤクショウキョウニンジントウ)  桂枝人参湯 (ケイシニンジントウ)  堅中湯 (ケンチュウトウ)  枳縮二陳湯 (キシュクニチントウ)  香砂養胃湯 (コウシャヨウイトウ)  芎帰調血飲 (キュウキチョウケツイン)  芎帰調血飲第一加減 (キュウキチョウケツインダイイチカゲン)  九痛丸 (キュウツウガン)  二陳湯 (ニチントウ)  人参湯 (ニンジントウ)  黄土湯 (オウドトウ)  黄連湯 (オウレントウ)  六君子湯 (リックンシトウ)  苓甘姜味辛夏仁湯 (リョウカンキョウミシンゲニントウ)  苓姜朮甘湯 (リョウキョウジュツカントウ)  柴胡桂枝乾姜湯 (サイコケイシカンキョウトウ)  柴芍六君子湯 (サイシャクリックンシトウ)  清肺湯 (セイハイトウ)  炙甘草湯 (シャカンゾウトウ)  四逆加人参湯 (シギャクカニンジントウ)  四逆湯 (シギャクトウ)  梔子乾姜湯 (シシカンキョウトウ)  椒梅湯 (ショウバイトウ)  小陥胸湯 (ショウカンキョウトウ)  生姜瀉心湯 (ショウキョウシャシントウ)  小青竜湯 (ショウセイリュウトウ)  小青竜湯合麻杏甘石湯 (ショウセイリュウトウゴウマキョウカンセキトウ)  小青竜湯加石膏 (ショウセイリュウトウカセッコウ)  疎経活血湯 (ソケイカッケツトウ)  蘇子降気湯 (ソシコウキトウ)  桃花湯 (トウカトウ)  当帰湯 (トウキトウ)  通脈四逆加猪胆汁湯 (ツウミャクシギャクカチョタンジュウトウ)  通脈四逆湯 (ツウミャクシギャクトウ)  温経湯 (ウンケイトウ)  温脾湯 (ウンピトウ)  温胆湯 (ウンタントウ)  烏薬順気散 (ウヤクジュンキサン)  烏頭赤石脂丸料 (ウズシャクセキシガンリョウ)  続命湯 (ゾクメイトウ)  

歴代成書に見られる生薬の効能に関する記載

利用する場合は以下を引用してください。

  • 矢作 忠弘,石内勘一郎,渥美 聡孝,三宅 克典,森永 紀,伏見 裕利,大山 雅義,森川 敏生,田中 謙,有田 正規,牧野 利明「歴代成書に見られる生薬の効能に関する記載のデータベース化」生薬学雑誌, 71(1), 1-36, 2017
番号 書名 出版年 記載
3 局方医薬品承認申請の手引き 1980 記載なし
4 生薬のエキス製剤の製造販売承認申請に係るガイダンスついて(2015年12月25日薬生審査発) 2015 記載なし
5 JP7 第1部 大改訂版 第2部 解説書(1966) 1961 記載なし
6 JP8 解説書 1971 記載なし
7 JP9 解説書 1976 記載なし
8 JP10 解説書 1981 記載なし
9 JP11 解説書 1986 記載なし
10 JP12 解説書 1991 記載なし
11 JP13 解説書 1996 記載なし
12 JP14 解説書 2001 記載なし
13 JP15 解説書 2006 応用、適用の記載なし D-140
14 JP16 解説書 2011 応用、適用の記載なし D-156
15 登録販売者試験実施ガイドライン作成検討会_試験問題の作成に関する手引き(厚生労働省医薬食品局総務課2007年7月) 2007 記載なし
19 『改訂生藥學』アルベルト・ウィカンド 大井玄洞 1887 記載なし
20 『生藥學』第5版 下山順一郎 1901 記載なし
21 『簡明生藥學』島崎健造 1909 記載なし
22 『最新薬学全書 第6編 生薬学』 伊藤治輔 編、日本薬学講習会 1913 記載なし
23 『生藥學』第13版 下山純一郎 朝比奈泰彦 1916 記載なし
24 『和漢薬物学』日野五七郎 一色直太郎 同済号書房 たにぐち書店復刻版 1931 記載なし
25 『薬理的生薬学』村上師壽 三省堂 1933 記載なし
26 『生藥學』第20版 下山順一郎 朝比奈泰彦 藤田直市 1934 効能の記載なし。上P97
27 『生藥學』第27版 下山純一郎 朝比奈泰彦 藤田直市 1943 記載なし
28 『生藥學教科書』木村康一 1949 記載なし
29 『最新生薬学』刈米達夫 1949 記載なし
30 『生薬学』三橋博、醫學書院 1958 記載なし
31 『生薬学』第4版、藤田路一 1963 記載なし
32 『新編生薬学』東丈夫 名越規朗 廣川書店 1965 P50(ショウキョウの項に記載): 芳香性健胃剤。ショウキョウチンキ、シロップ、芳香散。漢方: 矯味剤をかねる健胃剤として胃内の水毒を除くのに用いられる。どの処方においても”生姜”とあるものは野菜のひね生姜を用いる。蒸して乾燥したものは乾姜として区別する。
33 『生薬学総論』柴田承二 東丈夫 木島正夫 下村孟 廣川書店 1966 記載なし
34 『生薬学』稲垣勲 嶋野武 嶋田玄彌 長沢元夫 南江堂 1967 記載なし
35 『和漢生薬』刈米達夫 廣川書店 植物分類学での順 1971 P267: 芳香性健胃薬。漢方で処方の主薬となることはないが処方の大部分に配合され温薬として新陣代謝機能を促進し水毒を去る。(乾姜と生姜を区別していない)
36 『最新生薬学 第三改槁版』刈米達夫 廣川書店 1973 効能の記載なし。P79
37 『スタインエッガー・ヘンゼル生薬学〔上〕‐化学・薬理学へのアプローチ‐第3版』糸川秀治 太田明廣 西川嘉廣 廣川書店 1975 記載なし
38 『スタインエッガー・ヘンゼル生薬学〔下〕‐化学・薬理学へのアプローチ‐第3版』糸川秀治 太田明廣 西川嘉廣 廣川書店 1976 記載なし
39 『生薬学』 木島正夫 澤田徳之助 秦清之 朝倉書店 1978 記載なし
40 『新常用和漢薬集』訂正第2版 東京生薬協会 編集 南江堂 1978 記載なし
41 『最新生薬学総覧』伊沢一男 学文社 1978 P25: 腹冷痛、腰痛などに用いる。
42 彩色写生図 日本の薬用植物〔生薬〕 生薬-成分-漢方-〔処方例〕高取治輔 廣川書店 1980 記載なし
43 『生薬学第2版』北川勲 三川潮 庄司順三 滝戸道夫 友田正司 西岡五夫 廣川書店 1982 記載なし
44 『コメンタリー局方生薬』初版 桑野重昭 山内和子 米田該典 廣川書店 1984 記載なし
45 『新訂生薬学 第2版』長沢元夫 野呂征男 萩原幸夫 木村孟淳 南江堂 1987 P99: 漢方では乾姜を温中回陽薬、胃腸を温める薬とし、生姜とは区別する。
46 『コメンタリー局方生薬』 第2版 桑野重昭 山内和子 米田該典 廣川書店 1987 記載なし
47 『INTEGRATED ESSENTIALS 生薬学 改訂第3版』三橋博 指田豊 山﨑和男 南江堂 1989 P262(ショウキョウの項に記載): …またヒネショウガを蒸して乾燥したものを乾姜と称し、漢方では生姜と薬効を異にしている。
48 『生薬学概論』 難波恒雄 津田喜典編 南江堂 1990 記載なし
49 『生薬学改訂第4版』 三橋博 井上隆夫編集 南江堂 1992 記載なし
50 『天然薬物・生薬学』 初版 奥田拓男編 廣川書店 1993 記載なし
51 『薬用資源学』初版 山崎幹夫 斉藤和季編 丸善 1997 記載なし
52 『漢方薬理学』高木敬次郎 木村正康 南山堂 1997 P328: 脾胃の陽を温めるので、脾胃虚寒の吐瀉腹痛などの症に用いられる。
53 『生薬学概論(改訂第3版)』 難波恒雄 津田喜典 南江堂 1998 記載なし
54 『生薬学第6版』 北川勲 三川潮 庄司順三 滝戸道夫 友田正司 西岡五夫 廣川書店 2001 記載なし
55 『INTEGRATED ESSENTIALS 生薬学 改訂第6版』 指田豊 山﨑和男 南江堂 2002 P304: 漢方では生姜と異なり、中を温め、代謝を促進する作用があり、大建中湯などに配合される。
56 『入門漢方医学』初版 日本東洋医学会学術教育委員会 編 日本東洋医学会発行 2002 記載なし
57 『漢方・生薬学』久保道德 吉川雅之 廣川書店 2003 P104: 乾姜は芳香性健胃薬として用いられており、漢方では嘔吐、咳、胸痛、腹痛、下痢に用いれられる。
58 『薬学生・薬剤師のための知っておきたい生薬100ー含漢方処方ー』第1版、日本薬学会編、東京化学同人 2004 P58: ショウキョウの項に記載
59 『薬学生のための漢方薬入門』第2版、指田豊 三巻祥浩、廣川書店 2004 P70: ショウキョウの項に記載
60 『スタンダード薬学シリーズ3 化学系薬学Ⅲ 自然が生み出す薬物』第1版 社団法人日本薬学会 編 東京化学同人 2005 記載なし
61 『薬用植物学 改訂第6版』 野呂征男 水野瑞夫 木村孟淳 田中俊弘 南江堂 2006 記載なし
62 『パートナー生薬学』 指田豊 山﨑和男 竹谷孝一 南江堂 2007 P315: 漢方では、胃腸系を温め寒を除く、気を巡らし冷えを取る薬能がある。ショウキョウ胸間の小毒をとる作用が強く、カンキョウは胃腸を温める作用が強い。心臓部から腹部にかけての冷えと痛み、嘔吐、下痢、四肢の冷え、あるいは水滞と冷えによる喘咳、風寒湿痺、嘔吐、鼻出血、下血を主治する。中を温め、代謝を促進し水分の偏在や停滞による嘔吐、咳嗽、下痢、手足の冷え、疼痛などを治すと考えられる処方に配剤される。生姜、乾姜の両者から、gingesulfonic acidやshogasulfonic acid Aといったスルホン化誘導体が見いだされた。これらは乾燥や漂白の過程の二次産物であるが、それぞれ抗潰瘍作用や胃内容物排出遅延の改善作用などを示す。また市場品の検討よりzingeroneが乾姜に多く含まれることが見いだされた。
63 『生薬単』 伊藤美千穂 北山隆 NTS 2007 記載なし
64 『ベーシック薬学教科書シリーズ⑦生薬学・天然物化学』吉川雅之編 化学同人 2008 P59: ショウキョウの項に記載
65 『伝統医薬学・生薬学』 御影雅幸 木村正幸 南江堂 2009 P219(生姜の項に記載): 芳香性健胃、矯味薬。漢方では身体を温め水毒を治すのに用いる。生姜は乾姜より健胃、鎮嘔の効が大である。(中)散寒薬。方剤: 乾生姜の名称で、風邪薬、健胃消化薬、鎮吐薬、鎮痛薬とみなされる処方およびその他処方に高頻度で配合されている。また、粉末を芳香辛味健胃薬として配合剤(胃腸薬)の原料とする。漢方処方では生姜に限る処方は茯苓沢瀉湯、乾姜に限る処方は人参湯、乾姜および生姜の両方を配合する処方は生姜瀉心湯、半夏白朮天麻湯である。これら以外の多くの処方は乾生姜を用いるか、あるいは乾姜で代用される。生姜(鮮姜)のかわりに乾生姜を用いる際には、1/3?1/5の分量が適当である。
66 『日本伝統医学テキスト漢方編』平成22-23年度厚生労働科学研究費補助金『統合医療を推進するための日本伝統医学の標準化』研究班 2012 P355: 裏寒を去り,冷え痛みや咳喘の改善を目的とした漢方処方に配合されている。
67 『新訂生薬学 改訂第7版』 木村孟淳 田中俊弘 水上元 南江堂 2012 P105: 芳香辛味健胃薬、矯味薬。
68 『歴代日本薬局方収載生薬大事典』 木下武司著 2015 記載なし。
73 青本「化学」、薬学ゼミナール 2016 P578: 芳香性健胃
74 コアカリ重点ポイント集「化学系薬学」改訂第4版 薬学ゼミナール 2014 P151: 健胃、矯味薬
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